ペットも家族の一員。心地よく共に暮らすための住まいとは
犬や猫などのペットは、今や「家族の一員」として暮らしの中心にいる存在です。しかし、「人にとって快適な家」が必ずしも「ペットにとって快適な家」とは限りません。室温、床材、音、光、動線、収納——。ペットの健康や行動に合わせて空間を整えることで、家族全員の暮らしがより快適になります。
ペットとの暮らしを考えた家づくりは、住宅設計の新しいスタンダード。2026年の住宅トレンドでは、「ペット共生住宅」「動物福祉」「アレルギー対策」といったキーワードが注目されています。
この記事は、ペットと快適に暮らすための間取り設計・素材選び・生活動線の工夫を、最新トレンドと実例を交えて解説します。
まず考えるべきは「ペットの動線」──人とペットのすれ違いをなくす
人とペット、それぞれの生活リズムを可視化する
ペットは一日の多くを家の中で過ごします。特に犬や猫は、「お気に入りのルート」や「落ち着ける場所」を自分で決めて動く習性があります。そのため、ペットの行動パターンを把握し、人と動物の動線が交差しすぎない間取りを設計することが重要です。
例えば、リビング〜庭〜洗面室を一直線につなぐ「お散歩帰宅動線」。外出から戻ったらそのまま洗い場へ移動できるようにしておくと、足拭きやケアがスムーズになります。
階段・段差の少ないバリアフリー設計
犬や猫にとって、段差の上り下りは関節に負担を与えやすい行動です。2026年の住宅トレンドでは、スロープ型アプローチや低段差ステップの採用が増えています。
さらに、階段下スペースをペット用ベッドや収納として活用することで、機能性と安心感を両立した空間が生まれます。
「動線の交わり」をコントロールする空間レイアウト
キッチン・玄関など、人が頻繁に行き来するゾーンでは、ペットが足元を横切ると事故の原因にもなります。
キッチン前にゲートを設ける、玄関に小さなドッグスペースを設けるなど、行動範囲を明確にゾーニングすることが安全性につながります。
ペットが落ち着ける「快適ゾーン」をどうつくるか
陽だまりと風通しをデザインする
ペットにとって居心地の良い場所とは、日向と日陰、どちらも自由に選べる空間です。リビングの一角に掃き出し窓を設け、外光をコントロールできるロールスクリーンを採用すれば、季節や時間帯に合わせて快適な環境を保てます。
また、通風ラインを考えた開口設計も大切です。窓を対角に配置して風を通す「クロスベンチレーション（対流換気）」を意識することで、ペット特有のにおいも軽減できます。
パーソナルスペースを確保する
リビングの隅に小上がりや収納下スペースを利用した「隠れ家ゾーン」を設けると、ペットが安心して休める居場所になります。猫であればキャットウォークや高所棚を活用し、「上下移動」を楽しめる空間構成が理想的です。
夜間も快適に過ごせる照明計画
犬や猫は暗がりに強い一方で、強い光に敏感な動物です。夜間は間接照明や足元ライトを設置し、柔らかな光で安心できる空間をつくることがポイントです。
床・壁・建材選びが快適性を左右する
滑りにくく、爪が傷つきにくい床材
ペットと暮らす家で最も重要なのが床材選び。無垢材やクッションフロア、消臭機能付きフローリングが人気です。特に近年は、表面に「すべり防止コーティング」を施した高耐久フロア材が多く採用されています。ペットの関節への負担を軽減しつつ、掃除のしやすさも両立できます。
壁材は汚れに強く、抗菌・消臭性能を重視
腰高まで汚れ防止パネルを設置したり、漆喰や珪藻土など自然素材を採用するケースも増えています。これらはにおいを吸着し、調湿効果もあるため、季節を問わず快適な空気環境を保てます。
防音・防傷を兼ねたクッション壁材
特に集合住宅では、足音や鳴き声の響きを抑えるため、吸音材を内壁や天井裏に組み込む「ペット共生仕様」の設計が主流に。防音と耐久性を兼ね備えた建材の選定が、快適な共存の鍵です。
ペットと人が一緒に過ごしやすい「間取り設計」の工夫
玄関→洗面→リビングへと続く「おかえり動線」
散歩から帰ったあと、玄関で足を拭き、そのまま洗面所や浴室に行ける動線を確保。水回りとリビングをつなぐことで、外と内の切り替えがスムーズになります。
家事動線の中に「ペットケア」を組み込む
ランドリー横や洗面スペースにペット用品の収納を設けると、掃除・洗濯・ケア用品を一か所で管理でき、家事の流れを止めずにお世話ができるようになります。
家族とペットが自然に集まるリビング中心設計
リビングにペットコーナーを設け、「人と動物が一緒に過ごす」空間を主軸に据えるのも2026年のトレンド。段差をなくしたフラット空間で、子どもとペットが安全に過ごせる設計が人気です。
外とのつながりを意識したテラス・庭設計
ウッドデッキやテラスを「第2のリビング」として使うことで、ペットの運動スペースと家族のリラックス空間を兼ねる設計が可能になります。フェンスで囲むことで安全性を保ちながら、自然光や風を楽しめる憩いの場所に。
室内環境を整える最新技術とメンテナンスのポイント
空調と換気の両立がカギ
ペットの体温調節は人間よりも苦手なため、温度・湿度管理が重要です。全館空調＋個別換気のシステムを組み合わせることで、夏場の熱中症や冬の乾燥を防ぎ、快適な環境を保てます。
脱臭・抗菌性能を備えた内装設備
光触媒コーティングや、空気清浄機能付き壁材を採用するケースも増えています。特に2026年モデルでは、VOC（揮発性有機化合物）を抑える自然由来素材が評価されています。
定期的なメンテナンスで長持ちさせる
ペットと暮らす家では、爪痕や汚れなどの生活跡が付きやすいのが現実。床材の再コーティング・換気フィルター清掃・壁の消臭塗装の再施工など、2〜3年単位でのメンテナンスを計画することが、長く快適に暮らすコツです。
将来を見据えた「シニアペット対応」設計も重要
ペットも人間と同じく年を取ります。若い頃は元気に走り回っていたペットも、老齢期には段差が苦手になったり、視力が低下したりします。そのため、将来的に介助が必要になることを前提とした間取りが求められます。
- 床暖房＋滑り止めフロアで関節負担を軽減
- 段差のない廊下・スロープで移動をサポート
- 寝室近くにトイレスペースを配置して夜間も安心
このような工夫により、長く安心して暮らせる終生住宅を実現できます。
ペットとの暮らしをもっと豊かにする住まいの考え方
ペットと暮らす家づくりで大切なのは、 「かわいがる」から「共に生きる」への発想転換です。家族の誰かが我慢する家ではなく、全員が快適に暮らせる家が理想。そのためには、動線・素材・温度・明るさをトータルにデザインすることが欠かせません。
ペットがリラックスして過ごす姿は、家族の心のゆとりにもつながります。「ペットのための家」は、同時に「人にやさしい家」でもあるのです。
AVANTIAでは、ペットとの暮らしを見据えた間取り提案・素材選定・メンテナンス計画を総合的に行っています。家族の一員であるペットが、いつまでも健やかに、のびのびと過ごせる家づくりを一緒に考えませんか。
人とペット、どちらにも心地よい住まいを。
